山中千尋への戸惑い
山中千尋のピアノが好きで堪らない。
現存するジャスピアニストで、追っかけをしたくなるほどの音楽性の持ち主って、彼女くらいではないだろうか。
これはもう恋である。僕にとって神様みたいな存在のバド・パウエルも、それに次ぐ天才ジャズマンであるセロニアス・モンクも今はいない。
生のライブを共有できるピアニストでは、彼女が最高。CDを聴いた時間も、もしかしたらパウエルと同じくらいになるかもしれない。
しかし、彼女は素晴らしいが、悪癖もある。
音楽を壊しすぎる。僕にはそう感じられる。
悪い例は、彼女がエレクトリックを使った曲の多く。アルバム「LACH DOCH MAL」は彼女の最高の演奏、「TAHT'S ALL」をエンドにもってきていますが、エレクトリックのまとまりのない演奏が多く、アルバム全体の価値を大きく下げています。
「アビス」においてもエレクトリックを使った音楽には感心しません。
エレクトリックの中では唯一目から鱗の出来なのが、コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」。
エレクトリックとアコースティックの使い分けが最高に決まっています。なんてカッコいいのでしょう!!!
これほどの音楽が出来る人なのに…。
久しぶりに聞く彼女のライブは、13日の金曜日、原宿のクエストホールでした。
彼女自身、「寒いMCですみません」と言うトークは、とりとめもないが、キャラが出ていて可愛い。
でも、演奏中に譜面を落とすこと、数え切れない。なんだかおかしいです。そんなんじゃ、だめですよ。
見ていて気合が入っているなと思ったのは数曲。確かにいい出来でした。
でも、それ以外は前述のエレクトリック主体のいらいらする曲ばかり。
この日の選曲は僕にとっては最低でした。
彼女のピアノが好きで好きで堪らないからこそ、諦めたくないからこそ、これでは…と思う複雑な心境。
彼女ならではのリリシズムとジャジーな切れだけで十分じゃないですか。
原点に戻って、世界最高のジャズピアニストになってほしいのです。
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